「西へ向かえ」
彼女にすべてを打ち明けた。
彼女はだまって聞いていた。
今まで話せなかったわたしの裏側。
そんなところまで、彼女は静かに見てくれた。
初めてかもしれない、こんなに話しをしたのは。
風が髪をそよぐ丘の上で、
彼女はおもむろに伸びをした。
「ぐずぐずしてても始まらないよね」
そう言って彼女は、わたしに手を差し出した。
しゃがんでいたわたしは、
彼女の手を取って立ち上がった。
「もう一度だけ、夢を見ようよ」
わたしもそう思った。
素直な気持ちに動かされてみたい。
彼女を追いかけた瞬間のように。
太陽は柔らかく微笑んでいた。
「わたしも、一緒に行っていいかな?」
はにかみながら申し出る彼女に、
ことわる理由なんてない。
「トモダチで、いいよね?」
彼女が問う。
もちろんだ。
わたしたちはもう、トモダチだ。
メモに記したあなたの街。
西へ向かえばいい、ようだ。
晴れた今日の空の瞳をして出ていった あの子に何かいいことあれよ