「はやる想い」
木々の隙間から光が射す、
大好きなこの街の風景を絵ハガキにして、
あなたのもとへ、メッセージを投げた。
等間隔の街路樹に、
並ぶように佇む赤いポストが、
未来への希望を受け止めてくれた。
あなたへのはやる気持ち。
抑えるように、あなたの住む街の地図をひらく。
あなたが見ている景色、
あなたが感じている空気、
街の音、人々の声…。
あの記事と、留守電の向こうの雑踏を頼りに、
思い巡らすのもじれったい。
いつもの駅の路線図も、
気が付けばあなたの街への行き方を探している。
ここからどれだけ時間を費やせば、
たどり着けるだろう。
今のわたしに想起できるのは、
あなたの焼くベーグルの香りぐらいだから。
まだ見ぬ街への期待。
不安が混在しないかと問われれば、
もちろん、不安に決まっている。
だけど…。
このハガキに、返事が届いたら、
果たせないと思っていた未来が叶いそうな気がする。
そのときは、
すべてをあの街に託してみよう。
出発つ日のあなたのように。
強く降り弱く降りして夜の雨 なやみ流さず降りやまぬかな